第13章 子どもと行く海外旅行プランの創り方
「旅の計画って、そんなに必要ですか?」とよく尋ねられます。
しかし海外旅行においては、旅行前のプラン作成こそが、その旅の成否を大きく左右する鍵となるのです。
Shizengateでは、「旅行は、一生の思い出となる、家族にとってかけがえのない舞台」と捉えています。
旅行中には予期せぬ失敗や不安、ハプニングも起こるかもしれませんが、それらをできる限り減らし、安心して楽しむためにも、出発前のしっかりとしたプランニングが非常に重要です。
Shizengateが紹介する「子どもと行く海外旅行プラン創り」は、旅行会社による決まったツアーではなく、家族や個人が自由に作り上げるプライベートな旅行スタイルです。
Shizengateでは、家族が力を合わせて考えたオリジナルプランを、「一生の記憶に残る旅」にするためのサポートを大切にしています。
もちろん、ぶっつけ本番で楽しい旅行になることもあるかもしれません。
しかし、子どもと一緒に行く海外旅行では、“行き当たりばったり”のスタイルは、予期せぬトラブルやストレスにつながりやすいのが現実です。
だからこそ、「旅行前のプラン創り」は、「楽しさを広げ、不安を減らすための地図」だと考えてほしいのです。
また、しっかりとしたプランがあるからこそ、現地では“自由に動く余裕”が生まれます。
不思議に思うかもしれませんが、きちんとスケジュールを組んでいるからこそ、当日の予定変更にも柔軟に対応できるのです。
「今日は体調がよくないから予定をずらそう」「雨だから代わりに屋内スポットへ行こう」など、判断に迷わず動けるのも、プランがあるからこそ。
そして何より、プランニングは旅のスタートそのものです。
「どこに行こうか?」「何を食べたい?」「ここで遊べたら楽しそうだね」と、家族みんなで話し合いながら作る時間は、旅のワクワクが始まる第一歩。
この準備の過程こそが、家族の絆を深め、旅をより意味あるものにしてくれるはずです。
この章で説明するプラン創りとは?
この章で説明するプラン創りとは、先ので説明したスケジュール表を作成することです。
本章では、このスケジュール表を作成する上で考えていかなけれな行けないことの解説が中心です。
そして、最後の で、題材を基に本章および今まで他の章で説明してきた、さまざまな注意点を考慮し、サンプル的なプランを作成する過程を紹介します。
13-1)子ども中心の無理のないスケジュール
本ガイドは、「子どもと行く海外旅行プラン作り」のための情報を紹介するものです。 その中でも特に重要なのが、「子ども中心の無理のないスケジュール」を立てることです。 プランニングを行う際に、常に念頭に置かなければならないのは「子どもの存在」です。 大人だけの旅行や友人同士の海外旅行とは大きく異なり、子どもと一緒に行く旅行では、年齢や発達段階に応じた特別な配慮が必要となります。 子どもの年齢によって必要な休憩時間、移動距離、食事や睡眠のタイミングなどの考慮点は異なりますが、いずれにしても年齢に合ったスケジュール調整が不可欠です。
- “子どもの存在”を常に念頭
- “子どもの年齢”に沿うスケジュール
- “空白の時間”を確保
海外旅行は、非日常的な環境の連続です。
そんな中でも、子どもにとっては「安心できる日常の延長線上」にある旅であることが理想です。
刺激的な体験や新しい文化との出会いも大切ですが、心と体の安定を守ることが最優先でなければなりません。
旅行のスケジュールを組む際には、もちろん大人の「やりたいこと」や「訪れたい場所」も考慮すべきですが、まず軸に据えるべきは、子どもが楽しめること、そして休めることです。
たとえば、午前と午後でアクティビティを1つずつに留め、残りの時間はホテルのプールや公園で「何もしない時間」をあえて設けるのも一つの工夫です。
また、子どもの体調や機嫌を見ながら臨機応変に対応できるよう、予定の中に“空白の時間”を確保しておくことも非常に重要です。
無理のないスケジュールは、子どもの笑顔と家族全員の心の余裕を生み出します。
その旅を「楽しい思い出」にするか、「疲れた記憶」にしてしまうかは、出発前のプランニングにかかっているのです。
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13-2)フライトおよび宿泊先の重要性
海外旅行のプランを立てるうえで、まず最初に確定すべきなのが「フライト」と「宿泊先」です。 なぜなら、この2つが旅全体のスケジュールや移動手段、過ごし方の土台となるからです。 フライトは「旅行の時間軸」を決める大きな第一歩です。航空券の予約確定によって、海外旅行の現地スタートと現地ゴールが明確に確定します。 第8章 フライト(航空券)の確定で説明した内容に沿ってフライトを確定してください。 宿泊先は、現地での行動範囲と休息の拠点などを考える上での基盤になります。 第9章 宿泊先の選び方で説明した内容に沿って宿泊先を確定してください。 宿泊先が決まれば、旅行中の拠点ができます。 宿泊先によって、毎日の行動範囲が変わり、観光地や交通機関へのアクセスの良し悪しも大きく変わります。 また、子どもとの海外旅行では「ホテルで休む時間」も重要です。 施設内で、子どもたちが休憩できるか遊べるかも事前に確認しておくと安心です。 フライトと宿泊先の2つが確定することで、現地での「移動手段」、「観光先」、「アクティビティ」、「食事の計画」なども、具体的かつ現実的にプランニングできるようになります。
13-3)レンタカーの確定と予約
旅行先でレンタカーを利用する人は、フライト、宿泊先の次にレンタカーを予約し確保しておきます。 レンタカーは、現地でのプラニングする上で、足となり行動範囲を決める重要な決めごとに名なります。 第6章 レンタカー&キャンピングカーで説明した内容に沿ってレンタカーを確定してください。 また、キャンピングカーをレンタルする人は、プラニングの中心的な者になりますので確実にしかも早めにキャンピンカーの予約、確定を行ってください。
13-4)観光先およびアクティビティの確定
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フライト、宿泊先、レンタカーと確定したら次は、いよいよ「どこを観光するか」、「何をするか」などの観光地やアクティビティを決めていきます。 これらの良し悪しが、旅行の満足度を左右させます。 家族にあった場所、希望の場所などを順次決めていってください。 「午前はアクティブに、午後は宿泊先でまったり」も家族旅行でのアクティビテイの一つです。 アクティビティは、子どもの適齢なのかどうかもわすれないでください。 行く場所までの移動時間、移動方法、アクテイビティの費用、アクテイビィティの所要時間、混雑度、営業しているかなど事前に調べられることは調べておいてください。 プラン上では、移動時間は30分以上、所要時間は1時間以上の余裕時間を上乗せしてください。 実際に言った際に、混雑がひどくプラン通りに行かない場合は、早めにあきらめ切り挙げて帰るか、初期プランを中止し代替プランをへ現場で考えます。 特に、夜の帰りがプランよりかなり遅れる場合は、海外なので危険が伴いますのでプラン時間に合わせることが肝心です。
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13-5)1日の移動時間の計算と確定
海外旅行では、観光地間の移動が旅のキーポイントになります。 大人にとっては「2〜3時間くらい平気」と思える移動も、子どもにとっては長時間拘束されるストレスの原因になりかねません。 特に小さな子どもは、じっと座っていることに慣れておらず、トイレや飲食、休憩のタイミングなどにも細かな配慮が必要です。 ですが、「1日の移動時間は何時間が適切ですか?」という質問に対して、明確な正解を出すのは正直難しいところです。 そのため、家族なりの1日の総移動時間をある程度設定することが、子ども連れ旅行の快適さと安全性を確保する鍵となります。 設定する時間は、子どもが利用する交通機関に慣れているかどうかも大きな要因になります。 あくまでも、子どもの年齢、体力と日常の経験と実績で時間を想定してください。 特に小さな子どもは、2時間以上の連続移動でぐずる可能性が高くなります。 90分ごとに1度は休憩や気分転換の時間を挟みましょう。 以下のようなさまざまな要素によって、最適な移動時間は変わってくるからです。
- レンタカー利用か、公共交通機関か、またはツアーバスか
- 子どもの年齢や体力
- アクティビティの有無
- アクティビティに掛ける時間
- 現地の道路状況や交通事情
- 現地の道路状況や交通事情
一般的には、子ども連れの海外旅行における1日の移動時間は「3時間以内が理想」とも言われています。 しかしながら、スケジュールのプラニングをしなければならないのでShizengateでは、以下のようにパターン別の目安時間を設定しています。
- ■【レンタカーで遠距離を移動(高速有):アクティビティなし】:5時間以内
- ■【レンタカーで遠距離を移動(高速無):アクティビティなし】:3時間以内
- ■【レンタカーで近距離を移動:アクティビティあり】:3時間以内
- ■【レンタカーなし遠距離を移動:アクティビティなし】:3時間以内
- ■【レンタカーなし近距離を移動:アクティビティあり】:2時間以内
これらはあくまで目安で、この移動時間が適切であるという事ではありません。 過去の実績で私は、高速ありレンタカーで8時間と言う長距離移動もありました。 ツアーバスなどは、上記の時間より多く走る場合が多く夜中に走る場合はさらに長時間になります。
13-6)食事の場所と時間
海外旅行では、毎日の食事も旅の大きな楽しみのひとつです。特に子ども連れの場合は、「どこで、いつ、どのくらいの時間をかけて食事をするか」をあらかじめ想定しておくことで、旅全体の快適さがぐっと高まります。 移動時間やイベント時間が確定したの後、どこで食事をするか、どの程度の時間を取るか考えてスケジュールに追記していきます。 海外には多種多様な飲食スタイルがありますが、旅行中のスムーズな行動のためには、その日のスケジュールや移動手段に応じて、レストランのタイプや食事にかける時間、価格帯を想定しておくことが重要です。 食事後に移動がある場合やツアーへの参加が控えている場合は、「食事時間+移動時間+予備時間(30分程度)」をセットで考えるようにしましょう。
海外でのレストランのタイプ
海外には、様々なタイプのレストラン、食事どこがあります。 子どもと行く海外旅行で利用する主なレストランのタイプは、「フルサービスレストラン(中級レストラン)」、「カジュアル・ファミリーレストラン」、「フードコート・軽食スタンド」、「ホテル内のレストラン」の4つに分かれます。 アジア諸国にある多くある屋台などもあるのですが、露店を選ばないと慣れていないと子どもが腹痛を起こす可能性があるためあえて外しました。 しかし、屋台は国を代表する食文化なので、個人的には大好きです。タイに駐在にしていた私は、屋台が食事の中心でした。 しかしながら、あえて外してあるのは海外旅行者にとっては少しの利用は大丈夫かと思いますが腹痛などを起こす確率が高いのも事実なのです。 子どもがいる海外旅行者は基本、「フルサービスレストラン(中級レストラン)」以外のレストランが利用範囲かと思います。
フルサービス
中級レストラン
概要
店内は落ち着いた雰囲気で、丁寧な接客が特徴です。コース料理やアラカルト、ワインやアルコール類も充実しており、高級レストランに近いクオリティが楽しめます。 服装はスマートカジュアル程度が望ましく、全体的に格式ある雰囲気のため、小さな子どもにはあまり向いていません。 旅の最後の夜の記念や、特別な日の食事などで利用することもありますが、子どもがある程度落ち着いて食事を楽しめる年齢(小学校中〜高学年以上)でないと難しい場合が多いでしょう。
★ 長所
- 特別感のある雰囲気で、旅行の記念やお祝いにぴったり
- 食材や料理の質が高く、サービスも丁寧
- 静かで落ち着いており、大人もゆっくり食事ができる
★ 短所
- 時間がかかる(1〜2時間以上が基本)
- 子ども向けのメニューや配慮が少ないことも
- 高価格で予約が必要な場合も
★ 価格帯
- 1人あたり:昼 $25〜50/夜 $50〜100以上(国により大きく変動)
ファミリー
レストラン
概要
多くの観光地やショッピングモール周辺にあり、入りやすい雰囲気が特徴です。 ハンバーグ、パスタ、ピザ、グリルなど、さまざまな料理を提供する店舗が多く、特定の料理に特化した店もあるなど、バラエティに富んでいます。 子ども用の椅子やキッズメニューが充実している店舗も多く、子ども連れの家族にとって使いやすい環境が整っています。 観光の合間やショッピング中の昼食・夕食など、気軽に立ち寄れる場面で活用しやすく、子どもがまだ小さい場合でも安心して利用できる飲食スタイルです。
★ 長所
- 気軽に入店できる
- 子連れに優しいサービスがある
- 料理の提供も比較的早い
★ 短所
- 料理の質や雰囲気はフルサービスレストランに劣ることも
- 観光地では混雑しがち
★ 価格帯
- 1人あたり:昼 $10〜20/夜 $15〜30
フードコート
軽食スタンド
概要
フードコートは、ショッピングモールや観光施設、空港などに多く存在し、セルフサービス形式で複数の店舗から好きな料理を選んで食べることができます。 アジア料理、洋食、ピザ、バーガー、軽食など、さまざまなジャンルの店舗が並び、共通のスペースで家族一緒に食事をとることができます。 移動中(空港、駅、モールなど)の食事や、家族それぞれの好みが異なる場合、また食事にあまり時間をかけたくないときなどに便利です。 手軽で価格も比較的安いため、子連れの海外旅行者にとって非常に使いやすい食事スタイルといえるでしょう。
★ 長所
- 家族で別々の料理を注文できる(子どもはピザ、大人はタイ料理など)
- 価格が安く、短時間で食事が可能
- 子どもが食べやすいメニューが多い
★ 短所
- 混雑時は席の確保が難しい
- セルフサービスのため片付けや移動が必要
- 食器が使い捨ての場合もあり、雰囲気はやや簡素
★ 価格帯
- 1人あたり:$7〜15
ホテル内
レストラン
概要
ホテル内のレストランは、宿泊施設に併設されているためアクセスが非常に便利です。 朝食ビュッフェ、ランチセット、ディナーコースなど、さまざまなスタイルが用意されており、どの店舗も清潔で高級感があるのが特徴です。 ホテルによっては、お得感あるビュッフェスタイルの食事が朝、昼、夕と用意されているので人気あります。 到着日や出発日で外出を控えたいときや、小さな子どもがいてホテルからの移動を避けたい場合などに、非常に使い勝手のよい食事の選択肢です。
★ 長所
- ホテルの品質管理があり衛生面で安心
- 子ども向けメニューやアレルギー対応がしやすい(ホテルによる)
- 移動が不要で時間の節約にも
★ 短所
- 外のレストランに比べ割高
- 現地のローカルな雰囲気が味わいにくい
- メニューが限定的なこともある
★ 価格帯
- ・朝食:$15〜30、ランチ:$20〜40、ディナー:$40〜80(ホテルのグレードに依存)
食事別による所要時間の目安
- ★ 朝食:約45分〜1時間---ホテル内や近隣で。
- ★ 昼食:約1時間〜1.5時間---観光地周辺は混雑を見越して早めの行動が安心。
- ★ 夕食:約1.5時間〜2時間---ゆっくり楽しめる食事時間。
13-7)レンタカー以外の現地交通手段の確認
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海外の公共交通(バス・タクシー・電車)を利用する際の注意点
海外では、公共交通機関の運行ルールや利用方法が日本と大きく異なることがあります。 特に言語や文化が異なる環境では、事前に基本的な情報を把握しておくことが重要です。 以下に、バス・タクシー・電車を安全・快適に利用するための主な注意点をまとめました。
共通の注意点
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運賃の支払い方法を事前に確認
現金不可の路線や、専用カード(ICカード、アプリ決済)のみ利用可能な場合があります。小銭の用意や専用交通カードの購入が必要な国もあります。 -
スリや置き引きに注意
混雑する車内では、バッグは前に抱える、財布やスマートフォンを人目に付かない場所に収納するなどの対策をしましょう。 -
時刻表や運行頻度が不規則な場合もある
特にローカル路線では、時刻通りに来ないことや、休日ダイヤが平日と大きく異なることがあります。Google Mapsや現地の交通アプリでリアルタイム確認を。 -
子どもが迷子にならないように注意
ホームや車内で離れないようにし、名前や滞在先、連絡先を書いたカードを子どもに持たせておくと安心です。
バスを利用する場合の注意点
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乗り方が国によって異なる
前乗り・後ろ乗り、降車時支払い・乗車時支払いなど、ルールが地域ごとに異なります。地元の乗客の動きを参考にするのも一つの方法です。 -
停留所に表示がないこともある
一部地域ではアナウンスがなかったり、英語表記がない場合もあります。GPSやマップアプリで現在地を確認しながらの乗車が安心です。 -
ベビーカーの扱いに注意
たたむ必要がある路線と、そのまま乗れる路線があります。混雑時には子どもを抱っこして乗ることを求められる場合もあります。
タクシーを利用する場合の注意点
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乗車前に料金体系を確認する
メーター制か定額制か、国によって異なります。観光地では「ぼったくり」対策として事前に料金を確認・交渉することが重要です。 -
配車アプリの活用がおすすめ
Uber、Grab、Boltなどの配車アプリは、料金が明確でトラブルも少なく、子連れでも安心です。 -
正規のタクシーか確認を
空港や観光地では無許可のタクシーが待機していることがあります。公式の乗り場やライセンス表示のある車両を選びましょう。
電車を利用する場合の注意点
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乗り場・路線が複雑な場合も
ヨーロッパのように複数の鉄道会社が乗り入れている都市では、路線番号や行き先の確認が不可欠です。大きな駅では乗り場の距離もあるため余裕を持って行動を。 -
改札がないこともある
乗車券を打刻(バリデーション)しないと罰金になる地域もあります(例:ドイツ、イタリア)。チケットの使い方を必ず確認しましょう。 -
ラッシュ時は避けるのが無難
現地の通勤時間帯は非常に混雑し、子連れにはストレスになるため、移動時間をずらすことをおすすめします。
公共機関を利用する際のおすすめ対策
- Google MapsやRome2Rio、Moovitなどの交通アプリを活用する。
- 現地の交通パスや一日券をがあるかどうかを事前に調査する。
- 言語が不安な場合は、行き先や住所を紙に書いておく。
- 必ず目的地の読み方・表記を現地語でメモしておく。
13-8)柔軟にスケジュール変更ができる予備時間の確保
子どもとの海外旅行では、予想外の出来事や突発的な対応が必要になる場面が少なくありません。 体調不良、気分のムラ、トイレ休憩、突然のお昼寝、食事のタイミングのズレ、またはお気に入りの場所で「もっと遊びたい」と言い出すこともあります。 大人だけの旅なら臨機応変に対処できますが、子どもと一緒の旅行では柔軟にスケジュールを変更できる“余白”があることが、旅の満足度と安心感を大きく左右します。 そのため、1日の中に「予備時間(バッファ)」を意識的に確保しておくことがとても重要です。 観光地と観光地の間に余裕をもたせたり、1日の予定数を減らしたりして、移動や休憩の時間を調整しやすくしておきましょう。 また、雨天や交通渋滞などの外的要因による変更にも対応しやすくなります。
予備時間があることで、以下のようなメリットが発生します。
- 子どものペースを尊重した行動ができる
- トラブル時にも慌てず対応できる
- 結果的に家族全体の疲労が軽減され、笑顔が増える
13-9)渡航先への到着日・帰国日はゆとりの計画を
子どもと一緒の海外旅行では、「到着日」と「帰国日」をあえて“何もしない日”として、ゆとりのあるスケジュールを組むことが非常に重要です。 旅行全体の満足度や安心感は、この「始まりと終わりの時間のゆとり」に大きく左右されます。 出発直後から慌ただしく疲れてしまったり、帰国直前にトラブルが起きたりすることのないよう、子どもにも大人にも優しいスケジュール設計を心がけましょう。
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長時間のフライトや時差、空港での入国手続き、慣れない交通機関など、到着初日は大人以上に子どもにとって負担のかかる時間です。 現地の気候や文化、食事などもすぐには馴染めないことが多いため、この日は無理に観光やアクティビティを詰め込まず、ホテルでの休息や近場の散策など、「まずは旅先の環境に慣れる」ことを優先しましょう。 -
帰国日は、チェックアウトや空港への移動、フライトの時間に合わせた行動など、思っている以上にバタバタしがちです。子どもの着替えや荷物の整理、お土産の詰め忘れ、パスポートや航空券の最終確認など、大人が神経を使う場面が多くなります。 そのため、この日もあまり予定を詰め込まず、「忘れ物がないかの確認」や「心の準備」ができるよう、余裕のあるスケジュールにしておくことをおすすめします。
13-10)現地の利用施設の営業時間を確認
子どもとの海外旅行では、訪れる施設、お店などの営業時間や営業日を事前に確認することがとても重要です。 日本とは異なる祝日や営業時間の文化があり、「行く予定だった場所が休業日だった」「思ったより早く閉まっていた」など、せっかくの計画が無駄になってしまうことも珍しくありません。 たとえば、アミューズメントパークや動物園、ミュージアムなどは、現地の祝日や月曜定休、メンテナンス休業などにより、予想外に閉まっている場合があります。 特にヨーロッパなどでは、祝日は丸一日すべての施設が閉まることもあるため要注意です。 タイでは、仏教行事の祝日には、お酒の販売や提供が禁止される禁酒日があります。お店でもアルコールを飲むことはできません。 また、営業時間も日本より短い場合が多く、午後4時や5時に閉まる施設も多いため、「午後から行こうと思っていたのに間に合わなかった」という事態も起こり得ます。 子どもが楽しみにしていた場所に行けなかったとなると、旅の満足度も大きく下がってしまいます。 旅行計画を立てる際は、公式ウェブサイトや現地の観光サイト、口コミなどを活用し、利用施設の最新情報をしっかり確認しましょう。 「行ってみて閉まっていた」ではなく、「調べておいて正解だった」と思える準備が、子連れ旅行をより楽しく、安心なものにしてくれます。
◆ 事前確認すべきポイント
- 定休日(曜日固定 or 不定休)
- 営業時間(開園・閉園時刻)
- 現地の祝祭日と特別スケジュール
- チケットの事前予約の有無や入場制限
13-11)長時間移動は休憩を取る時間、場所を設定
子どもとの海外旅行では、長距離の移動中に「計画的な休憩」を取ることが非常に大切です。
車、バス、電車、飛行機など、どの移動手段であっても、子どもは大人以上に疲労やストレスを感じやすく、長時間の座りっぱなしによる集中力の低下や機嫌の悪化、体調不良にもつながる恐れがあります。
子どもにとっての休憩は、移動中の体調管理や快適さを保つために欠かせません。狭い座席に長時間座り続けることで血流が悪くなり、疲労がたまりやすくなるため、途中でストレッチや歩行をすることで身体のリフレッシュが図れます。
また、外の空気を吸ったり景色の異なる場所に立ち寄ることで気分もリセットされ、ぐずりや不機嫌を防ぐことができます。
さらに、小さな子どもはトイレや空腹のタイミングが予測しにくいため、計画的に休憩を取ることで、トイレの利用やおやつ・水分補給にも落ち着いて対応でき、家族全体にとっても安心できる移動になります。
休憩は「移動の途中で仕方なく取るもの」ではなく、あらかじめ場所や時間を設定しておくことがポイントです。
例えば、サービスエリア、公園、カフェ、景色の良い展望台などを休憩ポイントに選ぶことで、単なる移動が旅の一部として楽しめる時間に変わります。
移動も「旅の一部」と捉え、子どもの体と心に寄り添った休憩を取り入れることで、家族全体のストレスを減らし、安全で楽しい旅行が実現できます。
無理のないスケジュールは、旅の質を大きく高めてくれます。
◆ 長距離移動の目安時間と休憩頻度
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一般的には2時間以上の連続移動は、子どもにとって「長時間」とされます。 -
約1.5〜2時間に1回程度の休憩が理想的です。内容は、15〜30分程度の休憩が目安となります。 トイレ、軽食、遊具のある公園などを組み合わせると効果的です。
13-12)天候やアクシデント時の代替プランを考える
子どもとの海外旅行では、スケジュール通りに進まないことを前提とした「代替プラン(バックアッププラン)」の準備が、安心して旅を楽しむための大きな鍵となります。 特に海外では、突然の悪天候や予想外のトラブル(施設の臨時休業、交通の遅延、体調不良など)が発生することもあり、事前にしっかり計画していたスケジュールがそのまま実行できないケースは珍しくありません。 たとえば、屋外のビーチアクティビティを楽しみにしていたのに、大雨で中止せざるを得なかったり、観光施設がメンテナンスで臨時休業になっていたりすることがあります。 そんなときに「代わりに行ける場所」や「別の過ごし方」の候補が事前に準備されていることで、焦らずに予定を切り替えることができ、子どもの退屈や不満、家族全体のストレスを大きく減らすことができます。 旅行は「すべてを完璧にこなす」ことではなく、予想外を楽しむ余裕を持つことも大切です。 代替プランの準備があれば、予定変更も柔軟に対応でき、結果的に旅の思い出の幅も広がります。 子どもとの海外旅行こそ、臨機応変な対応力が問われるシーンが多いため、天候やアクシデントを想定した備えを整えておきましょう。
◆ 代替プランを考える際のポイント
- 屋外アクティビティの代わりに屋内施設(博物館、水族館、ショッピングモールなど)を候補に入れる。
- 徒歩で移動予定だった場所には、雨天時用のバスやタクシー移動も検討しておく。
- 渋滞や体調不良に備えて「予備の半日」や「なにもしない日」をスケジュールに確保し、代替活動日に変更してしまう。
- スケジュール実行日が、渋滞や体調不良などになった場合には、「予備日」や「なにもしない日」に変更してしまう。
- 計画した観光先が急遽キャンセルになった際に、近くの観光スポットやカフェ、室内アクティビティ施設を事前にリストアップしておく。
13-13)重要連絡先の記載
先でも説明しましたが、子どもとの海外旅行においては、予想外のトラブルや緊急事態に備えて「重要連絡先」を事前にまとめておくことが極めて重要です。 現地での体調不良、ケガ、盗難、交通事故、天候による足止めなど、どれほど綿密に計画していても、万が一の事態は突然やってきます。 特に子連れ旅行では、大人が冷静に対処する必要があるため、緊急時にすぐ連絡できる先をあらかじめ「紙のメモ」と「携帯電話の連絡先」に記録しておくことが安心と安全につながります。 重要連絡先の準備は「使わないことが理想」ですが、備えておくことで緊急時の安心感がまったく違います。 大切な家族と過ごす海外旅行だからこそ、万が一への備えとして、確実にリスト化・登録しておきましょう。
◆ 登録しておくべき重要連絡先の例
- 日本の家族(緊急連絡用、現地サポート依頼)。
- 日本大使館・領事館(パスポートの紛失や災害時の対応)。
- 現地の警察・救急車・病院(トラブルや医療対応時)。
- 保険会社の連絡先(保険金請求や提携病院の案内)。
- 旅行会社・航空会社(フライト変更・現地情報の取得)
- 現地在住の友人・知人(通訳・緊急対応の助け)。
- 保険会社の連絡先(保険金請求や提携病院の案内)。
- クレジットカード会社(紛失・盗難時の対応)。
- その他、重要と思われる連絡先。