子どもと行く海外旅行、子連れの海外旅行のプラン創りの完全ガイドの画像

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第11章 予算と費用計画

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海外旅行を成功させるためには、現地で慌てないように事前の予算計画が欠かせません。特に子ども行く海外旅行では、急な出費や予期せぬトラブルへの対応力も問われます。 この章では、旅行にかかる費用の全体像を把握し、適切な予算を立てるための具体的な項目や予算計画表について紹介します。

11-1)旅行にかかる主な費用

海外旅行では、事前に支払う費用と現地で発生する費用があります。家族旅行では人数が増える分、1つ1つの項目が大きな金額になりがちです。 以下の費用項目をしっかりと洗い出しましょう。 「第3章 目的と行先選び」の中項目「3-2)旅行予算の目安」でも先に説明しましたが、再び必要な予算項目を洗い出して見ます。

海外旅行の予算項目

航空券(往復)

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海外旅行において、最初に考慮すべき費用項目の一つがです。 国際線の航空券は高額であり、旅行シーズンによって価格が大きく変動します。燃油サーチャージや空港使用料なども加味した「総額」で比較・検討することが重要です。 航空会社には、大きく分けてと呼ばれる従来型の航空会社と、があります。 どちらを選ぶかによって、航空券に含まれるサービス内容や予約時の検討項目が大きく異なります。 フルサービスキャリアでは、座席指定、荷物の預け入れ、食事、キャンセルや変更の柔軟性など、基本的なサービスがほとんど運賃に含まれているため、安心して利用できます。近年は一部サービスをオプション化する動きもありますが、基本的な快適性と補償は維持されています。 一方、LCCは運賃こそ安いものの、座席指定、受託手荷物、機内食、キャンセル・変更など、あらゆるサービスが追加料金となるため、最終的な総額はサービスの選択内容によって大きく変わります。予約手続きにも手間がかかることが多く、特に子ども連れの場合は、子ども料金の有無や座席不要の乳幼児の扱いなどを事前にしっかり確認しておく必要があります。 また、LCCは万が一の航空事故に対する補償内容がフルサービスキャリアよりも限定的である点にも注意が必要です。 さらに、乗り継ぎ便や運航ネットワークにおいても、フルサービスキャリアの方が柔軟性と信頼性に優れています。

宿泊費

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旅行において、は全体の予算を大きく左右する重要な項目です。宿泊先のグレード、形態、食事の有無によって費用は大きく変動します。一般的に、宿泊費が高い施設は満足度や快適さが高くなる傾向にありますが、予算を抑えるために安価な宿を選ぶと、サービスや立地条件が劣ることもあります。 旅行全体の予算を調整する方法として、すべての日程で同じグレードの宿泊施設を選ぶのではなく、滞在日ごとにバランスを取る工夫も有効です。たとえば、前半はモーテルや簡易宿泊施設で節約し、最終日には少し高級なホテルを選ぶことで、特別感のある思い出を作ることができます。 また、子連れの旅行では、家族向けに設計されたホテルやアパートメントホテル、バケーションレンタル(民泊)など、多様な宿泊スタイルを検討することが重要です。施設によっては、一定年齢以下の子どもに対して「添い寝無料」などのサービスがあるため、事前に条件を確認すると良いでしょう。 旅の快適さと思い出の質を左右する宿泊先選びは、費用とのバランスを見ながら、柔軟に計画することがポイントです。

移動費

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は、「日本国内での移動費」と「渡航先での現地移動費」に大きく分けられます。 日本国内の移動費は、自宅から出発空港まで、そして帰国時の空港から自宅までの往復交通費が主な内容です。国内の移動は交通手段も分かりやすく、費用の見積もりも難しくはないでしょう。 一方で、問題となるのは渡航先での移動費です。現地の移動費を正確に算出するためには、ある程度の旅行計画(訪問する都市や観光地など)と、それぞれの移動手段(バス・電車・レンタカー・タクシーなど)を決めておく必要があります。すべてを完璧に計算する必要はありませんが、大まかなルートや手段を想定し、それに基づいて移動費を見積もることが現実的です。 現地の公共交通機関の運賃は、観光局や交通会社の公式Webサイトなどで調べることができます。都市によっては、観光客向けのICカードや乗り放題パスが販売されていることもあります。利用する場合は、その費用を予算に含めましょう。情報が見つからない場合は、通常運賃で計算しておくのが無難です。 タクシーの利用を想定している場合は、現地の距離単価や相場を事前に調べ、目的地までのおおよその距離から概算する方法がおすすめです。事前に料金を調べておくことで、現地での過剰な出費やトラブルを防ぐことにもつながります。

レンタカー費

レンタカーのイメージ画像

は、すべての旅行者に必要な費用項目ではありません。レンタカーを利用しない方にとっては、この予算項目は不要です。 しかし、 レンタカー費用は、主に車両レンタル料、保険料(任意・免責補償含む)、チャイルドシートなどの追加装備から算出されます。 保険については、レンタカー会社が提供する補償の中で最も手厚いもの(免責補償付き)を必ず選ぶことを強くおすすめします。 万が一の事故時にも安心です。 レンタカーの予約は繁忙期にはすぐに満車になることがあるため、早めの手配が必要です。車種(グレード)選びでは、自分が持っている運転免許の範囲内で「最安グレード」だけでなく、家族構成や荷物量に応じて余裕のあるサイズを選ぶことが、快適な旅の鍵になります。小型車を選んでしまうと、荷物が積みきれなかったり、乗り心地が悪く長距離移動が苦痛になることもあります。 また、ガソリン代・駐車場代・高速道路料金などの付随費用も忘れずに見積もりましょう。燃費は車種ごとに異なるため、事前にWebでスペックを確認し、やや多めに見積もっておくと安心です。 可能であれば、出発・到着が空港の場合は空港に併設されたレンタカー営業所を利用すると便利です。多くのレンタカー会社では、空港ターミナルから営業所までの無料送迎サービスを提供しています。 そして最後に重要なこととして、日本での「国際運転免許証」の取得も忘れずに行いましょう。 わすれた場合は、レンタカーを借りられません。

通信費

現地通信のイメージ画像

とは、渡航先でインターネットや通話アプリ(例:LINEなど)を利用するための、携帯通信環境を整えるためにかかる費用のことです。 自分のスマートフォンを使用する場合でも、現地の回線につなぐためには何らかの手段が必要になります。 現地での通信手段については、本ガイドの第4章「渡航準備」の4-7項「現地通信手段の準備」で詳しく紹介していますが、ここでは予算計画上で考慮すべき通信手段とその費用について説明します。 Shizengateでは、家族4人で海外旅行をする場合、次のような組み合わせをおすすめしています。 Wi-Fiルーター×1台(家族全員で共有)+現地SIMカード(必要に応じて各自分(通話用))です。 Wi-Fiルーターは、インターネットを家族で共有するのに便利で、容量無制限プランなら6日間でおおよそ5,500〜8,000円程度です。万が一の故障や盗難に備えて、賠償保険の加入は必須です。また、モバイルバッテリーのレンタルも含めると、約1万円前後の予算となります。 現地SIMカードは、国やキャリアによって価格や容量が異なりますが、例えばタイでは、15GB(8日間)で1,500円程度のプランがあります。通話やSMSが必要な場合は、SIMを活用すると便利です。 なお、現地SIMを利用する場合は、使用するスマートフォンがSIMフリーであることが必須です。SIMカードの入れ替えは、現地空港のSIM販売所で購入時に行ってくれることも多いので、初めての方でも安心です。 通信費は旅行の安心感や快適さに大きく関わるため、渡航先の通信環境やSIMカードの価格・仕様を事前によく調べた上で予算に組み込むことをおすすめします。

海外旅行保険料

海外旅行保険イメージ画像

万が一の病気やケガ、盗難、トラブルに備えるために、保険は旅行準備の中でも非常に重要な項目です。 保険の補償内容や選び方の詳細については、本ガイドの第10章 海外旅行保険と安全対策で詳しく解説しています。 ここでは、選択した保険プランの保険料を「海外旅行保険料」として予算に計上してください。 保険は必ず家族全員分を対象に掛けるようにしましょう。 ファミリータイプの保険にすれば、個別に加入するよりも割安になるケースが多く、手続きも簡単です。
また、クレジットカードに付帯する海外旅行保険を利用する場合には、そのクレジットカードの保険が有効になる条件を必ず事前に確認しておきましょう。 多くのカードでは、航空券やツアー代金などをそのクレジットカードで支払った場合に限り保険が適用されるなど、条件付きとなっています。また、補償範囲や金額が十分でない場合もあるため、不足分は別途加入を検討してください。

入出国関連申請費

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は、 本ガイドの第4章 渡航準備で解説している、出入国に関わるさまざまな事前申請にかかる費用を指します。 具体的には、以下のような費用が含まれます。

これらの費用は、渡航先の国や家族の構成、旅のスタイルによって必要なものが異なります。たとえば、短期滞在の観光であっても、ビザが必要な国もあれば、ワクチン接種証明が求められる国もあります。 ご自身の家族に必要な申請項目を確認したうえで、それぞれの費用を予算に計上するようにしましょう。

アクティビティ費

アクティビティのイメージ画像

とは、 海外旅行中に現地で楽しむ観光やレジャー、体験型プログラムなどにかかる費用の総称です。航空券や宿泊費のような「必須経費」とは異なり、旅行の楽しみを広げ、満足度を大きく左右する費用項目です。 具体的には、以下のような費用が含まれます。

また、無料で楽しめる公園や景勝地でも、現地での飲食にかかる費用を含めて予算を立てておくと安心です。 すべてを事前に正確に調べるのは難しい場合もありますので、把握できた入場料などに10%程度の上乗せをして予算を組むのもひとつの方法です。 アクティビティ費は、家族旅行をより豊かで思い出深いものにするための「楽しみのための予算」です。 事前に情報を集め、必要なアクティビティを選定したうえで、計画的に予算に組み込んでおきましょう。

食費

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は、 旅行中にかかる朝・昼・晩の食事に関する費用を指します。 多くの方がイメージしやすい費用項目ですが、実際には旅行全体の予算に大きく影響する可変費用でもあります。 どの程度の食費をかけるかによって、旅行全体の費用の高低が大きく変わってきます。 まずは、どこで、どのように食事をするかを考えることが重要です。

これらの選択によって、1回あたりの食事費用は大きく異なります。 また、先に「1日あたりの食費の予算枠」を決めておき、その中でやりくりするというアプローチも効果的です。家族全体で「今日は少し贅沢しよう」「明日は節約しよう」など、メリハリをつけた食事計画を立てることで、無理なく予算内に収めることができます。 子ども連れの場合は、子どもの好みやアレルギー対応、食べ慣れた味への配慮も必要となるため、現地の飲食スタイルや価格帯を事前に調べておくと安心です。

お土産・買い物代(雑費)

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は、 現地で購入するお土産代や旅行に必要な物品の購入費などを含む費用項目です。 現地のお土産代については、実際にお店を訪れてみないと正確な金額を見積もるのは難しいかもしれませんが、出発前に「おおよその予算枠」をあらかじめ設定しておくことをおすすめします。 もちろん、現地で気に入ったものに出会った場合は、多少予算を超えることもあるでしょう。その際は、家族で話し合って柔軟に判断すれば問題ありません。 また、ここでいう「買い物代」には、以下に挙げる旅行前の準備段階で必要になる物品などの購入費が含まれます。

特に初めて海外旅行へ行くご家族の場合、この事前準備のための買い物費用が意外と大きな負担になることがあります。忘れずに旅行予算に含めておきましょう。

予備費

予備費のイメージ画像

海外旅行の予算を立てる際には、各費用項目をできるだけ具体的に見積もることが重要ですが、最終的には、全体の10〜15%程度をとして上乗せしておくことを強くおすすめします。 特に子ども連れの旅行では、思いがけない出費が発生しやすいものです。以下のようなケースも考えられます。

うした突発的な支出にも心のゆとりを持って対応できるのが「予備費」の最大のメリットです。 また、旅先で節約を意識しすぎて楽しみを我慢することなく、「せっかく来たのだから楽しもう」という前向きな気持ちで旅行を満喫できます。 予備費は、「万が一」のための安心材料であると同時に、「より充実した旅行」にするための余白とも言えます。 無理のない範囲で構いませんので、最初の段階で予算全体の10〜15%を目安に計上しておくとよいでしょう。

11-2)現地物価の確認

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同じ費目でも、行き先の国や都市によって物価は大きく異なります。以下のような方法で現地の物価を調べておくと、予算計算や旅行中の金銭感覚をつかみやすくなります。 現地の物価の感覚は「水1本」「ランチ1食」「地下鉄1回」のような、子連れ旅行での食費や日用品のコスト見積もりに役立ちます。 なじみがないかもしれませんが、NumbeoやExpatisanなどの物価比較サイトを活用するとわかり安いです。

11-3)現地通貨と交換レート

現地通貨と交換レートのイメージ画像

前の第4章 渡航準備の 4-6)現地通貨の入手準備でも説明しましたが、 海外旅行において、現地通貨をどのタイミングで、どの手段で手に入れるかは、予算を組む上でも重要なことです。 また、どの時点のを利用するかもポイントです。 本来は、為替レートを変動見ながら利用する日のレート予測をするのですが、なかなか一般的にはできないため予算を組む時の為替レートよりも5%程度悪いレート予算を立てることをおすすめします。 現地通貨をどう用意するか、どこで両替・引き出すかも重要です。以下のような観点から検討しましょう。 また、クレジットカードやデビットカードの利用可能範囲も確認しておきましょう。

11-4)予算計画表の作成

予算計画作成の画像

海外旅行を楽しく、そして安心して過ごすためには、事前のの作成が非常に重要です。 旅行にかかる費用は、航空券や宿泊費だけでなく、食費、交通費、観光アクティビティ費、通信費、お土産代など多岐にわたります。 全体予算の計画なしで出発すると、予想以上にお金がかかってしまい、旅先で節約を強いられたり、予定していた体験ができなくなったりすることもあります。 出来上がった予算計画表を見て、本来の想定内なのか?どこかを予算的に削る必要があるか?何かを追加できる余裕があるのか?など、旅行全体像をとらえることができます。 旅の満足度は「お金の使い方」にも大きく左右されます。無理なく、そして充実した旅を実現するために、まずは予算計画表の作成から始めましょう。

予算計画表の必要性

① 旅行の全体像を把握できる

旅行全体でどれくらいのお金がかかるのかを可視化することで、安心して旅行の計画を立てることができます。

② 費目ごとのコスト管理ができる

「宿泊費はこのくらい」「食費は1日いくらまで」など、項目ごとに上限を設けることで、無駄な出費を抑えることができます。

③ 想定外の出費に備えられる

あらかじめ予備費を設定しておくことで、現地での急な出費にも慌てずに対応できます。

④ 子ども連れ旅行が安心できる

家族旅行では、子どもの食事やアクティビティ代などの出費も多くなりがちです。計画的な予算設計が、安心して旅行を楽しむための鍵となります。

Shizengateオリジナルの予算計画表

それでは、次にをサンプルとして掲載します。

サンプルとして挙げた予算計画表は、Shizengateが考えた予算計画表であり一般的な予算計画表ではありません。
本表を参考に、皆様方にて合ったフォームで予算計画表を作成した頂ければと考えています。 本予算計画表のファイルを利用して頂いて結構ですが、本Shizengateサイトのサイトポリシー(利用規約)に基づき、すべての免責事項について一切の責任を負いませんのでご了承ください。

の大項目は、本章の11-1)項目に挙げさせて頂いた 海外旅行の予算項目になっています。 項目が不足している場合は、項目を追加してください。また、必要ない項目は削除してください。

予算計画作成の画像

予算計画表PDFファイル

予算計画表Excelファイル

大項目は代表項目で、中項目は大項目をいくつかの属性で分けています。小項目は、それらの仕様、条件的なものを追記しています。 これらの中、小項目は自由に分けてください。必要なければ削除してください。
の大項目は、本省の11-1)項目に挙げさせて頂いた 海外旅行の予算項目になっています。 項目が不足している場合は、項目を追加してください。また、必要ない項目は削除してください。 この予算計画表事例は、以下が前提となっています。

予算計画表内で表記されている金額、ホテル名称などは、予算計画表の説明のために利用しているので暫定内容です。実績や実態ではありませんのでご理解ください。

Shizengate予算計画表の特徴