自然保護されているからこそ、生き物が豊富な天神島
澄んだ海と豊富な生き物、三浦半島でこんな磯があるとは思っても見なかった。まさしく磯遊びの楽園だ!
浅く広い磯、大きな岩の間に広がるタイドプール、外海に面している海藻の磯などさまざまな磯遊びができる天神島。荒崎海岸、芝崎海岸、城ヶ島、観音崎など三浦半島での磯遊び場を紹介してきたが、この天神島・・・個人的には三浦半島で一押しの磯遊び場だ。きれいなウミウシがたくさん見られ、磯の生き物もあちらこちらで見つけることができる。
三浦半島 天神島(天神島臨海自然教育園)での磯遊び
(2017/05/28:中潮 干潮時 晴れ)
天神島(てんじんじま)は、三浦半島西岸の相模湾に面した神奈川県横須賀市佐島にあり周囲が1km程の小さな島。島へは三浦半島側から小さな水路の上にある「天神橋」を渡るだけで行けるので島とは感じない。天神島は、横須賀市「自然・人文博物館」附属の「天神島臨海自然教育園」として整備され自然が保護されている。よって、磯遊びができる磯へは「天神島臨海自然教育園」が開園している時間のみに行ける。
岩礁で覆われた天神島の磯場は、たくさんの磯の生き物を観察することができ磯遊びの楽園だ。自然教育園として管理されているので、海水浴やシュノ-ケル、無許可での動植物の採取、持ち出しはできないなどの禁止事項が多いが、生き物が豊富で海水はとてもきれいな。
三浦半島 天神島(天神島臨海自然教育園)での磯のようすは、本ホームページの海岸ロケーションガイドの三浦半島 天神島(天神島臨海自然教育園)で紹介している。今回は、5月末日の干潮。1年で一番潮が引く時期なのでだいぶ潮が引いていた。磯の生き物は、これから大きくなっていく幼体が多かった。サンシェードなどを持ち運べないのだが、ゆっくりと子どもと磯遊びをする場所としてはいい。
問題は、駐車場。無料なのだが、15台分と少なくすぐに満車になる。停められない場合は、少ない周辺の駐車場を利用するしかない。とにかくおすすめの場所なので、一度は、行ってみてほしい磯だ。
観察会が開催されていた
岩と海藻と生き物が調和しているかのよう?
大きなタイドプールもできる
岩にメカブが生えている
今回、観察できた主なウミウシ・ヒラムシ
大潮翌日の中潮干潮時なので潮がかなり引いていた。海も穏やかで磯遊びには、絶好の状況となった。目を引いたのが「ウミウシ」。ウミウシが群れている場所があった。いくつかの見かけたウミウシを紹介する。
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※以下の画像は、クリックすると拡大画像が表示されます。
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シロウミウシ(初掲載)
シロウミウシ(初掲載)
天神島で、春から秋にかけてよく見かける「シロウミウシ」。浅い海の岩陰に生息している。アオウミウシに次いで、よく見かける普通種のウミウシ。今回は、小さなシロウミウシを多く見かけた。よく見かけるウミウシなのだが、磯遊びでウミウシを見つけるとなぜかうれしく思ってしまう。
生き物の説明は、こちら
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クロシタナシウミウシ
クロシタナシウミウシ
クロシタナシウミウシを多く発見。クロシタナシウミウシも、各地で見ることができタイドプールなどでもよく見かける普通種。普通の磯では、1匹単位で見かけるのだが、天神島では岩の部分にまとまって群れていた。群れているウミウシを見られるのも天神島の特徴なのかもしれない。
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ヒラムシ(初掲載)
ヒラムシ(初掲載)
多くのヒラムシが、ひらひらと海を泳いでいた。ヒラムシは、磯の石の下にすむ扁形動物ヒラムシ目の総称で、今回見かけたのは、体をくねらせて水中を泳ぐヒラムシ。おそらく「ツノヒラムシ」かと思うのだが触覚の数を確認し忘れ判別つかず。
オオツノヒラムシやツノヒラムシは、フグ毒のテトロドトキシンを有することが認められているので、素手では触らない方が賢明。
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アオウミウシ
アオウミウシ
アオウミウシは、磯でもよく見ることができる最も有名なウミウシの一つ。きれいな青に黄色の斑紋、それに赤い触角をもつ鮮やかな体色は、人気がある。今回は、多くのアオウミウシを見ることができた。おそらく自然保護されていることと餌になるカイメンが天神島には多いのではないかと思う。
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マンリョウウミウシ(初掲載)
マンリョウウミウシ(初掲載)
岩の上に小さなウミウシがいたので観察ケースへ。背面にイボイボがあり茶褐色なのでマンリョウウミウシの幼体だろう。マンリョウウミウシは、体長が15cmまで大きく成長する大型のウミウシ。岩礁帯で周年見られるが、個体数は少ないので今回はラッキーか?動きが早いウミウシでも知られている。
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ネズミウミウシ(初掲載)
ネズミウミウシ(初掲載)
岩の上にウミウシらしきものが・・・少し置いていたら触覚が出てきた、お~ウミウシ。これが、ネズミウミウシ。個体数は少なくはないと思うが、私は初観察。三浦半島では、普通に見られるらしい。白色班に見える部分が左右対象に2-3対あり、触角の色は暗褐色で先端部分に白色班が入ることで、ネズミウミウシとした。
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今回、観察できた主な磯の生き物たち
今回もさまざまな磯の生き物を観察することができたので、そのいくつかを紹介したい。
※以下の画像は、クリックすると拡大画像が表示されます。
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ヤツデヒトデ
潮間帯でよく見るヒトデで、体表は小さなイボ状の棘で被われる。 腕が根本からちぎれ安くちぎれた腕から再生し一匹のヒトデになるすぐれもののヒトデ。
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アカヒトデ
浅い海の石の下、岩の間や水深数mまでの岩場に生息し普通に見られる。「アカヒトデヤドリニナ」という小さな巻貝が寄生するのだが、していなかった
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ニセクロナマコの幼体
相模湾以南の岩礁海岸でよく見られる。体長が、20~30cm程度までになるので、このニセクロナマコは小さかったのでおそらく幼体だろう。
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ムラサキウニ
一部の岩の周りにムラサキウニがいっぱい。その部分は、「磯焼け」(ウニが海藻を食べきってしまい岩だけになる)の兆候が見えた感じがする。
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磯焼け
これが、最近東北地方でも問題になっている「磯焼け」。ウニがたくさん増え海藻を食べてしまい、他の生き物が生息できなくなる場所になってしまう。
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ナガトゲクモヒトデ
岩の裏側に「ナガトゲクモヒトデ」がいた。長いとげが並んで生えているのは普通なのだが、こいつの盤の二等辺三角形部分がやけに気持ち悪い形をしていた。
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タツナミガイ
岩のようなアメフラシ科の「タツナミガイ」。今季ア多くのタツナミガイが見られた。天神島には多いとのこと。
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フジナマコ
潮溜まりや潮間帯下部に生息し磯で見られる大型のナマコの一種。ニセフジナマコと言うナマコもいるとのことだが、相違点が不明?
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ベニツケギンポ
ベニツケギンポがいた。鰓蓋の上部に赤い朱斑があった。また、海藻が多い岩礁帯にいたことでもダイナンギンポとは違うと思う。
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ヒライボ
赤いサンゴのような物は、海藻の「ヒライボ」。浅い水深の岩や貝など硬いものに付着する紅藻に入る海藻。赤は生きていて、死んでしまうと白くなる。
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キヌバリ
色鮮やかなキヌバリ(スズキ目ハゼ科の魚)が泳いでいた。太平洋キヌバリなので横帯が6本。日本海側は、7本ある。キヌバリを見ると心躍る。
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スベスベマンジュウガニ
待望のスベスベマンジュウガニを撮影。毒があり食べると大変危険で人間の致死量を軽く越える個体もいる。鋏に挟まれたり、触るだけなら問題ない。
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タコノマクラ(表)
タコノマクラ(裏)
生き物らしくないが、ウニの仲間のタコノマクラ。裏側を見るとウニに似ていて生き物だということがわかる。
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ホシキヌタ
ホシキヌタから足がでてきた
タカラガイの「ホシキヌタ」。貝殻だけかと思ってみたら足が出てきた。生きているタカラガイを見ると幸せになってくる。
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小さなマダコ
体色を変えたマダコ
薄青色していたマダコが、つつくと急に体色を赤茶色に変えた。タコの外敵から身を護るための体色変化はすごい!
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天神島(天神島臨海自然教育園)の施設
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駐車場
天神島の駐車場は無料だが、15台分と少ない。周辺にも飲食店の駐車場はるにはるが、天神島では、この天神島臨海自然教育園の無料駐車場のみしかない。混雑シーズンは、すぐに満車になるので早め早めの行動が良い。駐車場は、教育園の受付で駐車カードをもらい車の前に置いておくシステム。
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天神島臨海自然教育園の駐車場
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駐車カード
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天神島(天神島臨海自然教育園)の施設
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天神島ビジターセンター
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展示ホール
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天神島の情報板
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ウミウシコーナー
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小さな水槽が
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左側が足洗い場
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天神島の南口
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天神島の岩上の遊歩道
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陸と天神島を結ぶ小さな天神橋
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天神島 冒険図鑑
天神島ビジターセンターの受付に「天神島 冒険図鑑」と言うA3より少し多い両面写真ののパンフレットが売っている。なんと50円!!天神島冒険図鑑は、天神島で見られる地層、動植物や天神島に関する自然環境が写真で図鑑的に掲載されている。50円ならば絶対に買わなければ損をする。天神島に行った時にはぜひ購入して天神島を楽しんでほしい。
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展示ホール
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