磯遊び(29):意外とおもしろい三浦半島 大浦海岸の磯遊び(5月)の表紙イメージ画像

多くの磯の生き物が見つかるぞ!意外とおもしろい大浦海岸

三浦半島特有の岩磯で、多くの磯の生き物が。イソギンチャク、小魚など豊富な磯の仲間たちと出会える穴場の磯遊び場

三浦半島南東部の三浦市南下浦町松輪にある大浦海岸は、穴場的な海岸で夏には海水浴場にもなる。この大浦海岸は、全長約200メートル程度の砂浜があり水質も良い海岸なのだが、両岸にきり立った高い崖があり海に向かって右側の広い岩磯で磯遊びができる。想像以上に磯の生き物が多く三浦半島で見れるさまざまな磯の生き物に出会える。

大浦海岸の磯遊び場(2019/05/18:大潮 干潮時 晴れ)の画像01

大浦海岸は、ガイドブックなどにあまり掲載されていないので穴場的な海岸となっている。 磯遊び、シュノーケリング、海水浴を同時に楽しめるプライベートビーチ的な雰囲気がある。海を前に見て右側の磯場を「火ヶ崎」、左側を「大浦」の磯場と言うようで、ファミリーが磯遊びを楽しめる磯場は、右側の「火ヶ崎」側。大浦海岸の岩場は、三浦半島ではよく見かけるうす茶色と黒っぽい灰色のしましまの層になっている。 今回の磯遊びでは、ヨロイイソギンチャクをはじめ多くのイソギンチャクや貝類を見ることができた。また、干潮時にできあがる大、中、小のさまざまなタイドプールの中には、色鮮やかなキヌバリや多くのハゼの仲間を見ることができた。また、磯ではひさびさに「トコブシ」を見ることができた。 意外にさまざまな磯の生き物を見ることができたことに感激。また、5月と言うこともあり東京湾で養殖されたワカメの切れ端が多く打ち上げられていた。平らな磯も多くあるのだが、磯の岩が切り立っているのでけがをしないよう履物や子どもの行動には十分気をつけたい。 大浦海岸は、混雑する神奈川県の海岸の中では、比較的混まずにゆっくりと磯遊びが楽しめる磯だと思う。 大浦海岸の紹介は、本ホームページの海岸ロケーションガイドの三浦半島 大浦海岸で紹介している。

ヨロイイソギンチャクが密集する手前の平らな磯の画像02
多くの切れた養殖ワカメが打ち上げられていたの画像03
磯遊びを楽しむ人たちの画像04
三浦半島の岩の特徴が見られる磯の画像05
中・小のタイドプールができるの画像06
奥側の磯の画像07

岩の裏には、楽しみうがいっぱい

サザエとトコブシ

サザエとトコブシの画像08

①小さいサザエ

サザエの表の画像10 サザエの蓋部分の画像11

岩の裏に小さな「」がいた。神奈川県の海面漁業調整規則で規定されている「かくがい(蓋の大きさ)が長径3センチメートル以下は、採ってはいけない」にギリギリ入るかどうかの大きさ。 潮間帯から水深30m程度までの岩礁に生息するので磯の岩にいても珍しいことではないのだがあまり見かけない。一般的にサザエは、波の荒い場所にいる「サザエ」にはツノがあり、波のおだやかな場所にいる「サザエ」はツノがないのが多い。 今回は、磯の浅い場所で波がおだたかな場所なのでツノがないのだろう。

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②トコブシ

トコブシの表の画像12 トコブシの裏の画像13

サザエの横に、アワビのような貴重な貝が?「」だ。以前は、磯で自由に手軽に獲れた貝なのだが、今では激減し高級なものになってしまい漁業権の中に入ってしまっている。 よく聞かれる「トコブシ」と「アワビ」の違いは、とにかく穴の数。 トコブシは6個から9個あり、アワビは4個から5個空いていて少ない。 また、アワビは殻に空いた穴が突起状に上に延びるのだが、トコブシの穴は、突起状ではなく上に延びていなくアワビより平ら。 今回のは、8個の穴、平らで穴が突起状に上に延びていないので、「トコブシ」だ。 確かに最近、見かける機会が少なくなった。

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③キクスズメ

キクスズメの画像15

トコブシの上に付着している貝、普段は何も感じないのだが、トコブシを調べているとトコブシに付着する貝の説明があった。この貝が、「」。 よくよく調べているとこの「キクスズメ」は、アワビやトコブシなどの巻貝の肛門近くに付着し、排泄物を食べている貝で「トコブシ」に付着しているのはごく普通。 今まで、貝の上に付着してる貝なんで、ほとんんど無視していただけにある意味衝撃な事実。磯の生き物の世界も無限に不思議なものなのだということを痛感した。 今回は写真のように二つの「キクスズメ」が「トコブシ」に付着していた。細長い白いものは、ゴカイの仲間である「ヤッコカンザシ」だと思う。うん・・・勉強が必要だ?

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判別難しいタイドプールにいたカジカの仲間

タイドプールにいた魚たちの画像16

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キヌバリ

キヌバリの画像17

は、スズキ目ハゼ科の魚。一年中見られ地球規模で見て日本と朝鮮半島だけで見られる地域限定の珍しいハゼだ。最近三浦半島の磯でもよく見かけるようになってきた。 きれいな縦じまが特徴で磯にいる他の魚とは段違いに美しい。目の部分以外の横帯が、太平洋側のものは6本、日本海側のものは7本ある。 確かに三浦半島の「キヌバリ」は6本だ。「キヌバリ」を見るとうれしくなってしまう。大浦海岸の水質が良い証拠にもなる。

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アナハゼ

アナハゼの画像18

正直、判別しずらい魚の一つの「」。タイドプールの海藻の中に網を入れてかき回しながら網を引くと高い確率で網に入ってくる。ハゼと名前がつくが実は、カジカの仲間でカサゴ目に分類される。 場所により、体色、模様に多少の変化がある。この体色の個体変異が判別にひと苦労する。「アナハゼ」の吻の先は、細く鋭い形をし、他の魚に見られる尾びれの湾入がない点がアナハゼの特徴。 体表は、うろこがなくツルっとしていて滑らか。上半分はまだらな褐色系の色、下半分は黄色や緑色をしており、口の中もそれと同じ色であることが確認できる。オスは茶色で、メスが緑色をしていると言うのでこれはオスか?

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アヤアナハゼ

アヤアナハゼの画像19

こいつも判別が難しい魚。アナハゼ、ニジカジカ、キヌカジカ、アヤアナハゼのどれなのか?こいつは、「」。沿岸岩礁域や海草・海藻帯、タイドプールに生息しハゼ科ではなくカサゴ目カジカ科の魚。 これまた体色変異が多い。とにかく特徴は、第1背鰭の第2棘と第3棘が他の棘よりも長いことや臀鰭には数本のやや不安定な斜線が見られることなどで他種と見分ける。眼上部に皮弁があり体表は滑らか。 アサヒアナハゼと似るが、アサヒアナハゼは背鰭の第1、第2棘が長いことと、臀鰭に褐色の点々がある。

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キヌカジカ

キヌカジカの画像20

こいつも判別が難しい魚なのだが、「」。キヌカジカは、タイドプールに生息し一見カサゴと見間違えてしまうが特徴は、第1背ビレの3棘目位が欠けてるようになっている。 第1背鰭は、前部が高く欠刻(きれこみ)があり、第2背鰭とは鰭膜で連続しない。眼上部に房状皮弁があり後頭部にも小さい皮弁を持つ。吻は丸くて短く鋭い鼻棘がある。 体色は赤みがかった茶色で、くすんだ白色斑を持ち尻ビレは斜線。こいつは、これらの特徴をすべて満たしているのが心強い。

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判別できず?(ギンポの幼魚?)

判別できず?(ギンポの幼魚?)の画像21

今回判別できなかったのがこの幼魚。おそらくギンポ系の幼魚だと思うのだが? どうしても尾鰭と尾鰭前にある低い背鰭が気になる。観察ケースの中では、上や下や元気に泳いでいた。

黒いヒムラシ

黒いイヒムラシの画像22 ヒムラシの泳ぎの画像23 深い紫色の裏側の画像24

なぜか気になった黒いヒムラシ。ヒラムシは、磯の石の下にすむ扁形動物ヒラムシ目の総称。海底の岩の上などをはい回って生活するが、一部の種は体をくねらせて水中を泳ぐヒラムシもいる。 今回見たのは、体をくねらせて水中を泳ぐヒラムシか?ヒラムシは、体長は1~5 cmほどで、体は楕円形・ひも形などで背腹に平たく軟らかい。 よく見る黒いヒムラシは、体の周りに白などのラインがはいるのだが、このヒムラシは全くラインがない。知らべても名称がわからないヒムラシだ。もしかすると、ヒムラシでない可能性もある。 名称があるのかないのかが不明。

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春の磯はやはり「アメフラシ」のオンパレード

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通常のアメフラシの画像25 アメフラシorアマクサアメフラシの画像26 アメフラシorアマクサアメフラシの画像27

あちらこちらに様々な体表をした「アメフラシ」がいた。「アメフラシ」を見るといよいよ磯遊びの時期がやってきたと感じてしまう。海辺で「アメフラシ」を見ると春の訪れを知ることができる。 アメフラシは、海藻を主に食べながら成長する。春先は海藻が育ち、それを食べるアメフラシも大きくなり5月~6月には大きなアメフラシが磯場に現れる。 そしてウミゾウメン(海の素麺)と呼ばれる黄色からオレンジ色のラーメンのかたまりのような卵塊(ランカイ)を生んで、その一生を終える。その後、孵化した子どもは、幼生としてプランクトン生活を送り、その後着底し小さなアメフラシとなる。 いつも思っていてできないのが褐色の「アメフラシ」は、「アマクサアメフラシ」なのか?アマクサアメフラシは、白色の汁を出すとのことで、この確認をいつも忘れてしまう。

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見かけたイソギンチャク

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ヨロイイソギンチャクの画像28

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タテジマイソギンチャクの画像29

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ウメボシイソギンチャクの画像30

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