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観察 | 海の生物:38(画像をクリックすると拡大画像が表示されます。)

真鶴半島 琴ケ浜海岸:体高が低いタナゴ「オキタナゴ」

オキタナゴの画像01釣り人には知られる「オキタナゴ」。「オキタナゴ」は、北海道以南の日本各地の沿岸域からやや沖合いの岩礁域周辺に生息する。体色は銀色のものと、赤っぽいものとがいる。オキタナゴの背鰭棘は、6~7本だが、ウミタナゴやアオタナゴの背鰭棘は9~11本。肉食性で多毛類や甲殻類などの小型の底生動物を捕食する。日本産ウミタナゴ科魚類はよく似ているものが多いが、オキタナゴは体高が低いく尾鰭の先端は細く尖ることで他のタナゴと容易に見分けることができる。ウミタナゴ科の他の魚と同様、胎生魚で交尾をし4~7月には卵ではなく稚魚を産む。メスは、卵を体内で育て魚の状態で産み1回での出産数は、9~17匹だそうだ。秋の繁殖期のオスは、岸近くの浅場に縄張りを張り、メスが近づいてくると体を反転しヒレを震わせながらメスを誘う行動をする。オキタナゴも食用にされるが、あまり多く獲れないので流通することはほとんどないが、身は白身で軟らかく身離れがよく煮付けや塩焼きにすると美味しいとのこと。(Data:2016/06/04)

三浦半島 長浜海岸:イボイボなウミウシ「ヤマトウミウシ」

ヤマトウミウシの画像01ヤマトウミウシの画像02ヤマトウミウシの画像03ヤマトウミウシの画像02岩をひっくり返したらこの「ヤマトウミウシ」がいた。「ヤマトウミウシ」は、岩浜の潮溜まりや付近で見られるウミウシ。潮間帯~潮下帯に生息し、青森県から九州までの日本海岸で見られる。春から夏にかけよく見られ、石の裏でじっとしていることが多い。体は黄色っぽい褐色で、体表上に多くのイボ状突起があるのが特徴。背面は黒ずんだ黄または緑色の地に暗黒色の小斑が散在し、球状突起の先端は暗黒色。裏側の足は橙黄色。産卵期は3~7月で,黄または橙黄色の数回巻いたリボン状の卵嚢を産む。一見橙色の「イソアワモチ」に見えるのだが「イソアワモチ」の裏側の足は橙黄色ではないのですぐに判別できる。(Data:2016/06/18)

伊豆半島 象島(瀬浜海岸):猛毒の貝。磯の危険生物のひとつ「イモガイ」

イモガイ科の画像01イモガイ科の画像02 イモガイは、イモガイ科イモガイ亜科の貝の総称。世界中では、約500種が知られていて日本には120種ほどが生息していると言われている。浅瀬から深海までその生息範囲は広く、海岸線の岩場などでも見かけることがある。本来は、熱帯~亜熱帯のサンゴ礁や砂地、岩礁地帯などでの沿岸域を中心に広く分布していたが、近年では地球温暖化の影響で分布域が拡大し、太平洋側では房総半島以南、日本海側では能登半島以南の沿岸でも見られるようになった。イモガイの殻は、殻長が10~20cm程度のものが多く大きくて23cm程度、円錐形で螺塔が低く殻口が狭いのが特徴。貝殻の模様は、種類や個体によって様々。この殻の形が、サトイモ(里芋)に似ていることからイモガイ(芋貝)と名付けられた。別名をミナシガイ(身無し貝)とも呼ばれ、軟体部が貝殻の奥まで入り込んで身が無いように見えることからこのような名前でも呼ばれている。死貝だと思って油断して刺される場合もあるのでご注意を。 イモガイは、毒針を放つことから恐れられている危険生物のひとつで、自分の体長と同じぐらいの長さまで伸ばすことができる毒腺が付いた銛状の歯舌で、他の生き物を突き刺し麻痺させて餌を捕食する。この毒は、猛毒の神経毒コノトキシンが主成分で毒蛇よりも強く、イモガイ1個体に含まれる毒は、アンボイナガイ(イモガイの1種)の場合でおよそ人間30人分の致死量に相当するほどの強力な毒だ。素手で触ったり、持ったり、ポケットに入れたりすると、外敵とみなされて毒銛で刺されることがあるので、子どもには、見たら触れないと注意することが一番。 毒銛には、返しがあり一見痛そうなのだが、刺された直後は、蚊に刺された程度の痛みしかなく自覚がない。知らぬ間に深刻なレベルまで毒が回るのでおそろしい貝と言われている由縁。症状は、徐々に刺された箇所の痛みが増していき、激痛レベルになり腫れが大きくなり、全身の痺れ、めまい、嘔吐、発熱がでてきて、症状が重い場合には、全身麻痺が起き呼吸不全で命を落とすこともある。 刺されたか、もしくは刺された疑いがあるときはすぐに陸に上がり、毒を口や吸引器で少しでも吸い出その箇所から心臓に近い位置をタオルなどで縛り、安静にしつつ病院に向かこと。イモガイの毒の血清はないので、人間の自然治癒力で毒が分解されるのを待つしかない対処になるが、毒のピークは5~6時間とのことなのでひたすら耐えることになる。人工呼吸器によって呼吸不全のリスクさえ回避すれば命を落とすことはないとのこと。 今回見かけたイモガイも、どの品種に属するのか判別がつかなかった。「マダライモ」に似ているのだが、いまひとつまだら状の模様が不均一なので判別がつかない。いづれにしろ毒があるイモガイには変わらない。 (Data:2016/07/17)

伊豆半島 象島:アオガイより円形に近いアオガイの仲間「コウダカアオガイ」

コウダカアオガイの画像01 コウダカアオガイは、北海道南部から九州までの岩礁の潮間帯上部に生息。アオガイより高いところに居て殻の大きさは、2.5×2cm程度、殻高はやや背が高く楕円形。アオガイより殻口は円形に近く、殻頂も高くて中央に寄る。殻表には細かい放射肋が密にあり、ほとんど模様がなく全面暗緑色のものがほとんど。また放射肋の顆粒もアオガイほど顕著なトゲ状顆粒にならない。殻内面は藍青色で殻口周縁は黒褐色でふちどられる。引き潮になると吸盤状の足で岩に張り付いて動かなくなる。潮が満ちると、海藻類を食べながら岩上を這うように移動する。 (Data:2016/07/17)

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