観察 | 海の生物:39(画像をクリックすると拡大画像が表示されます。)

シロウミウシ

シロウミウシの画像

シロウミウシ
(三浦半島 天神島 2017/05/28)

シロウミウシは、日本の太平洋岸、日本海岸に普通に見られるウミウシ。アオウミウシに次いで、よく見かける普通種。体長が、4cm~5cm程度で、体色が白色から黄白色で背面にまばらの黒い楕円形の斑紋がある。外套膜の縁は狭い黄色い帯斑で囲まれていて触手と鰓が黄色。体側面にも黒斑があり後端は黄色。浅い海の岩かげに生息し潮間帯中部から下部にふつうに見られタイドプールでもしばしば見かける。餌は、岩礁表面に付着しているクロイソカイメンもしくはナミイソカイメンの可能性が高いとされている。7~8月に産卵し、卵塊は渦巻き形。三浦半島や伊豆半島ではよく見かけるが、沖縄や八丈島だとまったく見ないとのこと。シラライロウミウシに似ているが、触角と肛門がある二次鰓(にじさいべん)の色が異なるので区別できる。

海中のシロウミウシの画像02

海中のシロウミウシ

シロウミウシの触覚の画像03

シロウミウシの触覚

シロウミウシの二次鰓の画像05

シロウミウシの二次鰓

ヒラムシ

ヒラムシの画像

ヒラムシ
(三浦半島 天神島 2017/05/28)

ヒラムシの画像

ヒラムシ
(三浦半島 天神島 2017/05/28)

ヒラムシは、磯の石の下にすむ扁形動物ヒラムシ目の総称。海底の岩の上などをはい回って生活するが、一部の種は体をくねらせて水中を泳ぐヒラムシもいるし、一部に寄生種もいる。今回見たのは、体をくねらせて水中を泳ぐヒラムシ。ヒラムシは、体長は1~5 cmほどで、世界中の海に生息し磯の石をひっくり返すと見つけることができる。体は楕円形・ひも形などで背腹に平たく軟らかい。表面は繊毛に覆われており粘液質で包まれる。偏平で密着するが、周囲を波打たせるものもいる。外見的に明確な頭部はないが、前方には感覚器が集中し背面に多数の眼点がある。ヒラムシの体は非常に柔らかく全身に腸が張り巡らされているため、傷ついたり弱ったりすると自身の消化酵素で溶けてしまう。肛門をもたず、腹部中程にある口から取り入れた食物を消化、吸収を行い、再び口から排泄を行っている。また、雄と雌の区別がない雌雄同体で、多くの場合、同一個体に精巣と卵巣をふたつ持っている。 今回の写真は、おそらく「ツノヒラムシ」かと思われる。「ツノヒラムシ」は、体色が黄褐色の地に黒色網状斑があるが背面中央の地色は暗い。下面は乳白色で中央に口があり、腸や生殖腺(せん)が透けてみえる。背面前方に1対の短い触角がある。類似の「オオツノヒラムシ」は、全長10cmに達する大型のヒラムシで、触角が2対以上あることが特徴。今回は、この前縁部に2対以上の触覚がないと思うのだが、よく見ていなかったので判別できず。 ヒラムシのうち、オオツノヒラムシやツノヒラムシはフグ毒のテトロドトキシンを有することが認められる。シャーレ上で刺激して出させた粘液の毒量でも体全体の毒量の2%になるということなので、ヒラムシを発見しても、みだりに素手で触れたりしない方が賢明かも知れない。 ウミウシとヒラムシは、姿は似ているが、ウミウシは「軟体動物門」、ヒラムシは「扁形動物門」でまったく別の生き物。簡単な見分け方は、厚みがややあるのがウミウシ、ほとんど厚みがないのがヒラムシ。ヒラムシには、二次鰓はない。

マンリョウウミウシ

マンリョウウミウシの画像

マンリョウウミウシ
(三浦半島 天神島 2017/05/28)

マンリョウウミウシは、体色が半透明の茶褐色で背面に暗褐色の斑紋が散在し背面全体にさまざまな大きさのイボ状の丸い突起を複数持つのが特徴。外套周縁のものは小さく、中央部のものは大きくなる。触角は半透明の茶褐色で、褶葉部はやや暗色になり、二次鰓は半透明の茶褐色で、鰓葉はやや暗色。体長は、15cmまで大きく成長する大型のウミウシ。岩礁帯で周年見られるが、個体数は少ない。動きが早く、ウミウシとは思えないスピードで移動する。 卵は、体色とは違って黄色で綺麗。その見た目から「健康サンダル」と呼ばれることもあるとのこと。写真の個体は、小さい幼体だったのでこれから大きくなるのだろう?

ネズミウミウシ

ネズミウミウシの画像01

ネズミウミウシ
(三浦半島 天神島 2017/05/28)

ネズミウミウシは、クモガタウミウシ科のウミウシ。体が幅広く平らで硬く、周縁が波打つ。淡黄色の体色地に白色の模様と細かい茶褐色の斑点があるが、外套膜の基部にはこの茶褐色の細点が入らない。中には、クリーム色の体色を持つもつものもいる。体長8cm程度に成長する。白色班に見える部分が左右対象に2-3対あり、触角の色は暗褐色で先端部分に白色班が入る。二次鰓の色は、体地色と同じで鰓葉が黒ずむ。夜行性で夜間活発に活動する。個体数は少なくはないと思うがあまりみかけない。本州中部以南もタイドプールや潮間帯下部付近でみられ、岩陰のような暗い場所にいることが多い。ネズミの由来がまったくわからん?手で触ったりすると緊張して身体が弾力がある硬質ゴムのように固くなるが、静かに見ているとゆっくり動き出しウミウシとわかる。

ネズミウミウシの画像01

ネズミウミウシの背面

ネズミウミウシの画像02

ネズミウミウシの裏

ネズミウミウシの画像04

ネズミウミウシの触覚

スベスベマンジュウガニ

スベスベマンジュウガニの画像01

スベスベマンジュウガニ
(三浦半島 天神島 2017/05/28)

スベスベマンジュウガニは、オウギガニ科に分類される海水生のカニで有毒種。房総半島以南の岩礁海岸とサンゴ礁の潮干帯から水深100mまでに生息しタイドプールでも見られる。甲は、甲長3.5cm、甲幅5cm~6cmほどので、前後に強く湾曲した楕円形で光沢があり全体に滑らかで、白っぽい斑模様がある。模様は個体ごとに違う。体色は赤褐色、暗褐色や紫褐色で、鋏の先は黒っぽい色をしている。海藻、貝類、ゴカイなどを食べる。 NHK「みんなのうた」でも『恋のスベスベマンジュウガニ』という歌で親しまれているが、毒がある。毒は、主に体表部(殻)と歩脚、ハサミの筋肉に含まれるとされる。生息地によって毒の成分構成比や毒量が大きく異なる。麻痺性貝毒のサキシトキシンやフグ毒のテトロドトキシンなどを筋肉内に蓄えていて食べると大変危険で、人間の致死量を軽く越える個体もいる。ただし、危険なのは食べた場合のみで、鋏に挟まれたり、触るだけなら問題ない。

鋏の先は黒っぽい色の画像02

鋏の先は黒っぽい色

体色が違うスベスベマンジュウガニの画像03

体色が違うスベスベマンジュウガニ

体色が違っても鋏先は黒の画像04

体色が違っても鋏先は黒

ホシゾラホンヤドカリ

ホシゾラホンヤドカリの画像

ホシゾラホンヤドカリ
(茨城 大洗海岸 2017/07/06)

ホシゾラホンヤドカリは、磯を代表するヤドカリの一つで、潮通しの良い磯で普通に多く見られる。右のはさみ脚が大きく、はさみ脚の掌部には特に長い毛が生える。第1・2触角は赤い朱色。体色は、グリーンまたは茶褐色で、その上に白ごまをちりばめたような配色も特徴がるのだがよく見ないと判らない。似ているヤドカリに、ケアシホンヤドカリ、ヨモギホンヤドカリ、ヒメケアシホンヤドカリなどがいる。特にケアシホンヤドカリによく似ているが、体色がやや暗く、白っぽい点が散在している点で区別する。触覚の赤色は、ケアシホンヤドカリの触角が朱色っぽいのに対して、ホシゾラホンヤドカリは紅色に近い。

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