磯遊び(19):岩のり採りを楽しむの表紙イメージ画像

冬から春前にかけての磯で、自然の恵み「岩のり」を採る

天然の岩のりを見つけて、採って食べてみる。これこそ磯の自然の恵みを感じられるひとつのアクティビティなのかもしれない。

自分で採取したものを食べる。そこには、自然の恵みを感じる何かがある。現代では、漁業権などのからみで自由気ままに「岩のり」を採取できる場所は少ないが、今回は、私有地の磯で許可を頂き「岩のり採り」を楽しんだ。普段食べている海苔のありがたみを感じる体験だ。

はじめての「岩のり採り」に挑戦(2016/03/27:中潮 干潮時)の画像01

岩のり

春が近づいて来ている3月末日、磯に行ってみた。当然、生き物はまだ少なく冷たい海の磯なのだが、この時期の磯といえば「」だ。最近では、漁業権がからみ自由に「海藻採り」ができないところが多いのだが、漁業組合に確認し可能な場所で楽しんでみよう。 今回は、私有地の磯で採取の許可を取って「」に挑戦。私たち家族にとっては、はじめての岩のり採り体験となった。指導者がいるわけではないので、適当に岩のり採りを楽しんだ。磯に出て、岩場をよく見て岩のり採りができる岩を探した。 時間は、ちょうど中潮の干潮時間帯。崖の付近に、岩のりがいっぱい付いている岩を発見。さっそく岩のり採りを開始した。個人的には「岩のり」と呼ばれる海草があるかと思ったのだが実は、「」とは、波の荒い外海の岩場にはえている、紅藻類のアマノリ属の天然海苔の総称を言うらしい。 一般には、クロノリをさすことが多いらしい。岩に生育している岩ノリは、濃い黒紫色または、紫褐色などの光沢をしている。アマノリ類は、国内で約30種、世界では130種以上が確認されているらしく、そのほとんどが潮の満ち引きによって海面から出たり入ったりする『潮間帯』の岩などに付いている。 主に「クロノリ」「スサビノリ」、「ウップルイノリ」、「オニアマノリ」、「マルバアマノリ」などの海草が天然の岩のりにあたるとのこと。しかし、これらの岩のりを判別することは、素人には難しい。今回も「岩のり」の分類に入ると思うのだが、どの種類の海草になるのかわからないままで岩のり採りに挑戦した。 しかし、採取した岩のりを見る限りでは、日常見ている岩のりとほとんど変わらなかった。今回は、採取後の生岩のりと家に持ち帰り干した岩のりの両方を食べてみた。・・・正直・・・Good。充実感に満ちあふれた岩のり採りになった。

岩のり採りは、海水温が低い11月から3月までが旬

は、場所によって違うのだが11月から3月までが旬で、海水温が低い時期に行われる。岩のりは、岩にのりの胞子が付着し、この胞子が黒く芽生え天然のりとして採れるようになる。商品として販売されている日本海産などの岩のりは、寒さが厳しい冬の海で1月~2月に荒い波が打ち寄せる滑りやすい岩場で行われ、岩のり採り作業はきびしいものとなる。 この時期に採取された岩のりは、程良い歯さわりで磯の風味に富み、おいしい高級品として人気がある。また、岩のりは、冬の海上がしけたときまたは大雪になった時ほどよく育つと言われている。私たちは今回、販売目的ではなく自然の恵みの体験を目的としているので、都内近郊の近くの海で暖かくなってきた時期でかつ海が比較的穏やかな中潮の干潮時間帯を選んだ。 自然に生えている岩海苔は、海岸の岩場や造成されたコンクリートの防波堤、ブロックなどの表面にも付いている。現在では、先に説明した通り岩のりが採れる場所は、漁業権の設定対象になっている所が多く、採取の場所や時間が決められている場合もある。岩のり採りをしようとする場合は一度、管轄の漁業組合に相談する方がいい。

岩のり採りをした岩場の画像02
岩に岩のりが、びっしり付いているの画像04

岩のりの採り方

足場に気をつける

岩のりがある岩のすべりに注意の画像03

岩のりが付いている岩場は、すべりやすく足場が悪い。岩のりがついている岩の上を歩き大怪我をすることもある。また、波打ち際の岩場に岩のりが付いていることが多いので、波しぶきや波にぬれない場所を選ぶのも得策だ。

岩のりを岩からはがす

今回はナイフを利用の画像05

岩のりの採り方は、へらのような「のりかき」や「貝」などで岩の表面についた岩のりを一かき一かき採っていくのが一般的。道具で強く岩の表面をかくと石や小さな貝殻が混じり洗うのが大変になるので、指でつまんで削ぎ採る方法もある。今回は、ナイフを使い岩を削らないように岩のりを採っていった。

採った岩のりを入れる

飯ごうに採った岩のりを入れていくの画像06

採った岩のりを、網などの袋や何らかの容器にいれていく。今回は、海岸でバーベキューもしていたので飯ごうを利用した。

岩のり採りのようす①の画像07

岩のり採りのようす①の画像08

岩のり採りのようす①の画像09

生岩のりを食べてみる

採った岩のりの画像10

採った岩のりは、海水もしくは水道で良くゆすぎ砂、小石や貝を取り除いていく。この作業を中途半端にすると食べたときに小石などを噛み感激が薄れるので、しっかり洗いたい。 採った生岩のりをそのまま食べるのは、贅沢でとても美味しい。今回は、カップラーメンや白いご飯の上に生岩海苔をかけ味を楽しんだ。 生の岩のりは、養殖海苔と比べすこし固くコリコリしているのだが、これが絶妙で風味が良く野生の味がする。

生岩のりをつまむの画像11

生岩のりをカップラーメンへの画像12

生岩のりのご飯の画像13

生岩のりを干す

干した岩のりの画像14

岩のりの干し方にもコツがあるそうなのだが、今回はインターネットでもあまり出てこなかったので、適当に2日間素干しにした。 生の岩海苔を網に広げ、干すだけ。薄い長方形の板海苔にするのは、大変なので今回はやめた。いづれにせよポイントは、良く洗い砂などの不純物をきれいに取り除くことがいちばん重要だ。 干した岩のりも味噌汁などの具に利用しあっという間になくなった。

生岩のりを干し網に広げるの画像16

生岩のりを天日干しするの画像15

アオサも干したの画像17